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ポルトガル便り・4便  明けましておめでとうございます。

           今年は皆様にとりまして明るい気持ちの年になりますよう遠地よりお祈り申しあげます。

   12月にはグループ展に参加の為ベルリンへ行ってきましたが、その事については第五便でお伝えすることにして、今回はこちらのクリスマスとお正月について書いてみます。
  10月末頃からクリスマスグッズが売り出され始め、11月に入るとクリスマス一色。各お店のショーウインドウもクリスマスの飾りつけとなります。店の二階の窓からサンタクロースの縫いぐるみが落っこちそうになりながら窓にしがみついている姿には思わずニンマリ。12月に入ると各教会にイルミネーションがつきライトアップされます。商店街には通りを横断する形で、等間隔にアーチ型あり・コサージュ型あり、それぞれに趣向を凝らした飾り付けがなされます。又木々には星型や柳のように垂れ下がった豆電球がつき夜になるととても奇麗。ベルリンで見たクリスマスの飾りつけは近代的でハイセンスな物を感じましたが、ポルトガルの飾りつけは素朴で垢抜けない物ですが、それだけに飾りつけた人の姿が想像でき身近な暖かさを感じました。ジングルベル等の賑やかな音楽を耳にする事は殆どなく、街はとても静かです。
  20日にはエストリル(我が家から三つ目の駅)のサレシアナ教会までメサイアを聴きに出かけました。この時期は買い物客も多く、皆の顔も明るく浮き立つような表情をしています。ポルトガルは外国への出稼ぎ者も多く、それぞれの人がクリスマス休暇をとって帰国し、身内が集まって家でクリスマスを祝うようです。クリスマスイブの夜も街で騒ぐ事もなく、静かに暮れてゆきました。24日にはそここゝで七面鳥や鶏肉を焼く匂いが漂ってきます。(こちらでは普通は家に換気扇が付いてなく、レンジの上に通気孔の穴が開いているだけなのです。)
   25・26日の街は総て休息状態。人の姿もあまり見かけません。こちらのクリスマスは日本の昔のお正月と重なる特別な意味があるようです。私達は25日に三家族・六人が友人の家に集まり、5キログラムの七面鳥のお腹にチャーハンを詰め・3時間かけてオーブンで焼き、楽しいクリスマスを祝いました。
  31日・大晦日は半日でお店を閉める所が多いというので慌てて買い物に出かけます。とても安い値段のシャンパンが沢山売られています。クリスマスはもう終わったのに何故だろうと思いつつ、おせち料理もどきを作る為の材料を買います。
  夜の11時半。料理を作る手を休め、エストリルでの新年を祝う花火大会を見に車で出かけました。駅の近くになるにつれ車は渋滞。そのうち花火が打ち上がり始めました。のろのろ動く車の窓から奇麗な花火が見えます。国道級の片側二車線の道路なのですが、一台は歩道に乗り上げその横にもう一台が止まり、シャンパンで乾杯をしています。それを横目で見ながら狭くなった道路を二車線を守りながらのろのろと動いていたのですが、とうとう私達の前の車も止まり、中から人が出てきてシャンパンで乾杯が始まりました。私達の横(追い越し車線)を走っていた車の中でも既にシャンパンが酌み交されています。総ての車が完全にストップして全道路が花火見物の場所に変わりました。 ボンアーノ!(良いお年を)と言いながら・・・・・。のろのろ走る車の中から奇麗な花火が見られるし、このままこの場所に居られたら良いのにと思いました。まさかその望みが現実になるとは思ってもみなかった私達は、この国のおゝらかさに驚きました。交通整理の警察官も出ているのですが目くじらをたてることもありません。花火が終わるとまず追い越し車線が動き出し、普通に動きだすまでに五分とかからなかったと思います。おおらかな中でも皆ルールをちゃんと守っているようです。
  元旦はクリスマスと同様に総てのお店がお休みです。二日からは普通に動き始めます。やはりポルトガルもクリスマス・お正月を各家庭で祝う人もいれば旅行に出かける人達も沢山います。
  おおらかさと言う事では、クリスマスの飾り付けがお正月になってもそのままで、夜になると奇麗なイルミネーションが輝いています。クリスマスの飾りと思うからいけないのだ。折角奇麗に飾りつけたのだから皆で楽しみましょう。新年を祝う飾りだと思えば良いのだと考えるのですが、Bon Natal ! (楽しいクリスマスを!)と書いてあったり、サンタが寝そべっている姿のイルミネーションにはやはり頭を抱え落ち着きません。友人に聞くとヨーロッパでは1月10日頃からそろそろ飾りを片付け始めるのだそうです。日本のようにクリスマスが終わるとすぐにお正月の飾りに取り替える事に慣れた堅い頭の私も、“そんなものか。何事も奇麗な事はよい事だ!”と楽しむ事に致しました。

ジェロニモス修道院

  世界遺産に登録されている壮大な建物・ジェロニモス修道院サンタマリア教会で年明けの第一日曜日(1月5日)に催される新春合唱コンサートを聴きに行き、荘重な教会での音楽にしばし心を洗われる思いがしました。

このコンサートも暮れのサレシアナ教会の音楽会も入場料などは無く、献金だそうです。カトリックが古くから根強く定着している国らしいと思いました。“えー。いくら献金したのかって?”それはヒミツ。( 孝 江 )

 
       
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